アップルストア銀座で「ヱヴァ」イベント開催 SPゲストも登場!

8月22日、銀座のアップルストアにて
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版とデザインの関わり」
と題したイベントが開催されました。
イベントゲストには「ヱヴァ:破」にも参加されているデザイナーのコヤマシゲトさん、okamaさん
そして「ヱヴァ:破」の鶴巻和哉監督が登場。
「ヱヴァとデザインの関わり」をテーマに、トークセッションが行なわれました。
さらにスペシャルゲストとしてキャラクターデザインの貞本義行さんも登場。
豪華メンバー4人が参加するイベントとなりました。
初出しとなる設定画や、実際の劇中シーン画像を使ってのトークが行なわれた為、
ネタバレを含む内容になります。
かなり貴重なものが沢山見れました。
(※8/25更新)
興行収入30億円突破という「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の大ヒットを記念して開催された本イベント。
実際の経緯は、Mac Fan2009年8月号の表紙をレイ・アスカが飾った繋がりで、アップルストアの方からイラストを描かれたコヤマさんに話が来たそうです。
なのでメイン進行はコヤマさんが担当。
参加メンバーは4人と書きましたが、
貞本さんはサプライズゲストだったので途中からの参加です。
ちなみに会場には大月プロデューサーも来られており、客席側で立たれて聞いていました。
・okamaデザインの解説
まずはokama(オカマ)さんのデザイン画を元に3人であれこれとトーク。
使われたのは「ヱヴァ:序 全記録全集」に載っているokamaデザインの「エレベーター」や「リリス」、リリスを封印していた「最終扉」、その扉の前にある通路「最重要生体物厳重保管庫前 封印所専用仮設通路」などなど。
ヱヴァ:序で出てきたリリスへの通路「レベルEEE」パートをメインに解説。
あの部分はokamaデザインが元になってるようです。
【ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 全記録全集】P311設定案/okama より
リリスデザイン
最初のokama案では、人類がリリスを調べた跡として無数の手術跡が加えられてましたが
最終的に庵野総監督が修正し、現在の分かりやすい「胸の傷跡」に落ち着く事に。
これは、一目見ただけで「傷跡」と認識できる「分かりやすさ」を庵野総監督が好んだから。
ただ、結果としてデザイン案が使われなくとも、アイディアを出してもらう事で「選択」する事が出来るので有難い、と鶴巻監督は言われてました。
okamaさんはとにかく数を惜しまずデザインを挙げてくれるので、鶴巻監督としてもやりやすかったそうです。
鶴巻監督からはokamaさんに対して「削りだし」「削りだし」と何度も言われてたそうですが、その心が中々理解出来なかったようです。
※削りだし(wikipedia)
「序」でリリス封印の扉が開くときに「ネジ」みたいなのがクルクル回って開く表現があるんですが
okama「こういうのが好きな人は何が好きなんだろう」
と言われてました。
コヤマさん・okamaさん共に、鶴巻監督作品「トップをねらえ2!」に参加した事が「新劇場版」参加のきっかけだったと「コンティニューvol.36」インタビューで語られていましたが、
okamaさんに関しては「新劇場版」制作開始時に同じくスタートしたアニメ「ガンダム00」の方へデザイン関連の人材が流れてデザイナー不足の中、庵野総監督がokamaさんに声をかけたそうです。
鶴巻監督としては、庵野さんがokamaデザインを起用する事が意外だったとか。
コヤマさんは鶴巻監督にアニメデザインというものを叩き込まれたそうで
こちらも「コンティニューvol.36」によると「僕の師匠だと思ってる」と発言されてたりします。
さらにコヤマさん曰く
ガイナックには鶴巻さんが育てたスタッフが多く
グレンラガンのスタッフなんか殆どそうなんじゃない?とも言われてました。
・旧作であった「生っぽさ」へのこだわり、今回はそうでもない?
今回の新劇場版では、旧作にあった「生っぽさ」みたいなモノへのこだわりが薄くなったのでは?
と言う話。
TV版や旧劇場版を作ってる時の庵野監督は「生っぽさ」を出すことにこだわっており
その手法としてセル画に直接コピックで「汚し」を入れる手法を鶴巻監督が解説。
庵野監督は「アニメもそういうもの(質感の表現)を出来ないとイカン」と当時は言っており、エヴァのTVシリーズでもセル画の納品直前までコピックで直接汚しを入れクオリティアップを図ってたそうです。
この辺りのテクニックはGAINAXが得意で「王立宇宙軍オネアミスの翼」などを見ると分かりやすいとの事。
「新劇場版」はデジタル制作なので、セルに直接描くと言う事が無く、その辺の違いでは?
フォトショップでもそういった作業は出来るんですが、庵野さんが使いこなせてないから直接やらないだけなのでは、と鶴巻監督。
確かに「内臓」等への処理は少なくなっていたが
メカに関しては相変わらず凄いこだわりがあるそうです。
・マリの旧型プラグスーツ
「フィギュアがいっぱい売れる奴」で
話題はエヴァの「プラグスーツ」デザインへ。
この辺りでスペシャルゲストの貞本さんも加わります。
貞本さんによると
プラグスーツのデザインはTV版制作時に庵野監督が「スキューバーダイビング」に嵌っており
いわゆるダイバースーツから来てるそうです。
TV版エヴァ放送前に「ハミングバード」と言うアニメが放送され「先にやられた!」と悔しがってたとか。
続いて「破」から登場したマリの「旧型プラグスーツ」に関して。
(物語冒頭で着てた緑のスーツ)
モニターには初公開となるマリの「旧型プラグスーツ」設定イラスト
さらに劇中から抜き出したマリの画像などが映されます。
貞本さんによると
マリの旧式プラグスーツに関しては庵野総監督から
「エロく」「フィギュアがいっぱい売れるやつ」と言った単純な注文があったそうで
貞本さんのアイディアとして胸のラインは
「後ろから手がまわって揉みしだかれてるイメージ」
にしたとか。
※イベントなのでお客さんと盛り上がって話してる感じです
文字にすると貞本さんが真顔で語ってるように見えるので一応付け加えを
ちなみにマリの旧式プラグスーツデザインに関してはニュータイプ9月号でも語られてた通り「イギリス的なブリティッシュグリーン」と言うまじめな話も。
バイザー部分はモニターになってるそうです。
その他、旧式プラグスーツデザインの元ネタとして
・ヘルメットは「ガミラス」
・腰まわりは「キングジョー」
と言う話もありました。
【キングジョー】
・庵野総監督のうさみみラフ画も公開!
複数人で作られたテスト用プラグスーツデザイン
続いて「破」劇中で3号機実験用にアスカが着た「テスト用プラグスーツ」の話題に。
アスカが「見えすぎじゃない?」と言った、胴部分が半透明のアレです。
スケスケデザインについては、コヤマさん曰く「黒幕は鶴巻さん」らしく
鶴巻さんは
「何かで見た濡れて透けているプラグスーツのフィギュア」が元だと。
庵野総監督からの指示はとにかく「エロく」だったとかで
モニターには庵野さんの描いた以下のようなラフイラストが映し出されます。
・ウサミミのついたプラグスーツのラフイラスト(顔は描かれてない)
・「いやらしく」「フィギャばえ」と手書き説明(フィギャばえ=フィギュア映え)
・横には犬耳仕様のイラストも描かれている
コヤマ「フィギュアって書けてない所がかわいい」
「これを描いた人が一方でこれですからね」と全記録全集にも載っていた
庵野総監督の鬼のように描き込まれた第3新東京のビル設定イラストが写されるなど
この「庵野ラフ」をネタにしてトークが盛り上がります。
鶴巻さんは「これを描いたのはきっとプロデューサーとしての庵野さん」と
フォローも交え今回の新劇場版が「自主制作」としてリスクを背負い込んで作ってる事を説明。
そんな庵野ラフから始まったテストプラグスーツデザインが
完成に至るまでの複数の「デザイン案」も紹介されました。
プラグスーツデザインは新旧含め基本的に貞本さん一人がやられてたのですが
このテスト用スーツに関しては
鶴巻→コヤマ→貞本
と数人で作られたそうです。
コヤマ「スクミズとニーソックスの案までたどり着いて、この下のスキマを上に持っていくのはどうか~」
鶴巻「絶対領域が~」
などなど数パターンの案を経て、現在のテストスーツに近い透けるデザイン案が完成。
ここからは貞本さんも加わり
貞本「センサーで乳首の所だけ隠そうかと~」
コヤマ「レイのは隠れないけど、アスカの乳首なら小さいからコードだけでも隠れるハズだ!」
などなど「透けながらにして如何に隠すか」の案が詰められていき
最終的に今のヌーブラ的なもので隠す案に辿り着いたようです。
最後にはコヤマさんが
「このテストスーツの殆どはいやらしい理由でデザインされてるが、真面目な理由もある」
とネタ方向に振れてた話を若干軌道修正して次の話へ。
5%程の真面目な理由とは
「データ採取が目的のスーツなのでデータを採る内臓の部分だけが薄くなっている
データさえ採れればあの部分が潰れても構わない(恐らくスーツとして保護されてないから)と言う、ある種残酷なデザインでもある」と言うもの。
もうひとつ、マリの旧式プラグスーツに関して貞本さんが
「冒頭のシーンはあまり動かない(アニメーションとして)と聞いてたから線を増やしたが、実際には本田君が動かしまくって大変なことに」
と言うエピソードも。
・宇宙船のデザインについて(冬月アゴ修正秘話)
続いてスクリーンには「新劇場版:破」の月面のシーン「6号機建造シーン」「タブハベース前の宇宙船」「宇宙船から外を見る冬月とゲンドウ」などが映される。
【EVA-EXTRA04】より
月面タブハベース前の宇宙船
鶴巻監督によると、破の宇宙船は庵野さんが描いており
上のシーンは原画も庵野さんがやってたのでは?との事。
デザインの元ネタは「カンブリア紀の生物」だそうです。
(ハルキゲニアとかか?)
その後の「母なる大地」の前を飛ぶ三角形の宇宙船も庵野原画の模様。
船内で着ていた宇宙服はコヤマさんが描かれており
宇宙服を着た冬月のアゴが短かったので「劇場版のアゴアゲイン」とアゴを描き直したとか。
(旧映画版の冬月のアゴは長い)
okamaさんは「カンブリア紀の生物」が元ネタと言う部分に結構食いついてた模様。
ちなみにokamaさん、この日の朝「破」を見てきたそうです。
・マリの新型プラグスーツ
ビーストモードで光るアレはライダーベルト?
改めてプラグスーツデザインについて貞本さんが語られます。
マリの新プラグスーツデザインに関しては
「現代風の産業デザインを取り入れている」とアップルのイベントだけに
ipodデザインの進化と重ねて説明。
新スーツには今、新しく見えるデザインを取り入れてあるそうです。
旧・現行・新型の3世代タイプを、デザインだけで見て分けられるようになってる。
2号機のビーストモード時に手や胸の丸が光るのは庵野さんのアイディアで
「仮面ライダーのベルト」がモチーフのようです。
・第7使徒デザインが出来るまで
最後に「使徒」のデザインについて。
今回はコヤマシゲトさんが来られているので、コヤマさんがデザインした「第7の使徒」の話に。
(アスカ初登場シーンで倒したデカイやつ)
デザインアイディアは「水のみ鳥」からで
「時計」(秒針?)の部分は後に庵野さんが付けたらしいです。
モニターには複数の水のみ鳥的なラフデザインが映される
【大阪万博東芝IHI館】(おそらく会場で映されてた画像と同じもの)
それに、庵野さんが持ってきた万博の写真などを参考に、あのような形に。
この万博の写真なんかは「まんま」使徒にみえたりしますね。
鶴巻監督は「大阪万博はSFデザインの宝庫」と語られていました。
これらに加え
事前に参加者から募集していた「使徒」「プラグスーツ」のデザイン案も紹介。
鶴巻監督達がそれぞれにコメントやアドバイスをしていく感じのやり取りもありました。
デザイン関連のイベントと言うことで、最後はokamaさん、鶴巻さん、貞本さんから
将来その道へ進まれる方々へのメッセージが送られイベントは終了。
15時スタートで終わったのが17時位
おおよそ2時間のイベントでした。
以上、大雑把な内容などを書いてみました
追記
写真付きの詳細レポートです。
◆『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』のプラグスーツ&使徒の謎を公開!? - Apple Storeで『ヱヴァ』デザイナーがトーク(マイナビ)
[エヴァストア本店][![]() |
この記事へのコメント
レビュー楽しみにしてます(^o^)/
もう少し時間あれば
使徒デザイン応募しようと
思ってたんですが…無理でした。
Appleさん
トークセッション配信してくれないかな…。
後日レポートとかは有るかもですね
あと、どこぞのメディア取材も来てたようなので、正式なレポートに自分も期待
アスカの次回スーツは完全に未知ですね
むしろこれからデザインに入るとか有りそうだし
(アスカのTESTスーツ案の日付は08年10/11と書かれてました)
マリのプラグスーツのデザインはウルトラマンSEVENによる怪獣の身体か、びっくりしましたが。。。
小さいごろからウルトラマンSevenをよく見る私にとって、ウルトラマンのものが破で再現するそうで
ちょっと感動しました。
ネルフ携帯の通信音って最高だね!!
10月の上映をお楽しみに!
名前: 好事家 2009年08月23日 00:32:41
行きたかった~(涙)
プラグスーツも世代があったんですね。
ただ作ったとこが違うのかと思ってましたが
予告の眼帯アスカのスーツは首のぽっちが4つになってた気がしたので
第4世代でしょうか…。