庵野監督『シン・エヴァ』に言及「頑張ってやってます」幻のエヴァ完全新作は「進撃の巨人」に似ていた?

2014年10月27日に開催された第27回東京国際映画祭の特集上映「庵野秀明の世界」トークショーに行ってきました。
映画祭中4回目となる今回のトークショーは、アニメ作品の話を中心に庵野秀明監督と氷川竜介さんの対談形式で語られました。
以下、庵野監督のエヴァに関する話を箇条書きでまとめています。
TV版 新世紀エヴァンゲリオンについて
「エヴァを始める前に一度GAINAXと決別した」
「人に頼ってはダメだと1人で企画書を作ったのがエヴァ」
「GAINAXで出来なかったらサンライズでエヴァをやる予定だった」
「(会場の時間が無く)当時の話は「スキゾ」「パラノ」に大体書かれている」
「この本はQ&Aインタビュー形式になっているが、実は9割僕が書いている。聞き手側の発言も含め僕が書いた」
(※この発言に関して編集者の竹熊健太郎さんが、当時実際に庵野さんにインタビューを行った後、庵野さんが赤字で加筆修正された経緯を説明されています)
「エヴァ旧劇場版」お蔵入りになった幻の完全新作について
「映画は25話・26話のリメイク(EOE)と、完全新作の2本作る予定だった」
「完全新作の方はエヴァの世界観を再構成し、映画一本で物語が完結する話。プロットまで書いていた」
「そのプロットが(現在の)進撃の巨人にそっくりだった」
[もともとエヴァ旧劇は「シト新生」(春)で完結、その後に「完全新作」(夏)が公開される予定でしたが、シト新生が間に合わず夏に完結編を公開。完全新作の方はお蔵入りになっていました。鶴巻監督が新作を辞退したのも、お蔵入りの理由の一つだったそうです]
「エヴァ旧劇」幻の完全新作はどんなプロットだったのか?
「人類が殆ど滅びた世界 ATフィールドに守られた所に篭っている」
「外に繋がる橋が一本だけある 外から使徒が来る」
「TV版の時に出来なかった使徒が人を喰う表現、対するエヴァもエントリープラグではなく直接子宮の中にチルドレンを埋め込んで毎回手術で取り出す。早く出さないと取り込まれて人として死んでしまう、人では無くなってしまう。それは今の新劇にも残ってる設定」
「進撃の巨人をみた時にここまで似てるかと思った」
(※事前に話を聞いていた氷川さんが「取り込まれて使徒になるんじゃなかったですか?」と聞き直した所、使徒というより「人では無くなってしまうと」説明)
エヴァ次回作について
「エヴァをやると毎回壊れる」
「短編アニメ企画は決して横道じゃない、やらないと次のエヴァにも繋がらない」
「本当にエヴァしんどい、旧エヴァの時は死にかけた」
「『Q』が終わった後にも壊れた、今回は結婚してたのもあり耐えられた」
「宮﨑駿にも最後まで頑張れと言われた、頑張ります」
次回作の進行状況について
「頑張ってエヴァもやってます。本当に大変なんです」
「お待たせしてますが、序(2007年)、破(2009年)、Q(2012年)、公開までの間隔が2年、3年とくれば次は4年後、5年後、6年後になるって法則をいま年表見て思いついたが、ダメですか?(笑)いや、頑張ります」
「思い出したら涙が出てきた」
次回作の公開時期については冗談交じりに発言されていました。
もちろん本当の公開時期を簡単に言える訳ないので、逆に考えると4年はかからないの裏返し…もしくは本当に決まっていないのどちらか?と感じました。
(Qから3年後=2015年公開 4年後=2016年公開 5年後=2017年 6年後=2018年)
とにかく「エヴァは大変なんです…」と心の底から話されていたので、シンエヴァに関しては現在かなり苦労されているようです。
ちなみに金曜ロードSHOW!の「EVANGELION:3.0+1.0」については一切触れられませんでした。
以下、各サイトのトークショーレポート記事まとめ。
庵野秀明監督、『シン・エヴァ』に言及「やり遂げます」 ニュース-ORICON STYLE-
◆http://www.oricon.co.jp/news/2043797/full/
庵野秀明監督 新劇場版「ヱヴァ」年表見て涙!燃え尽きて死の直前まで行った思い出告白 - News Lounge(ニュースラウンジ)
◆http://newslounge.net/archives/149709
庵野秀明、宮崎駿との秘話明かす「エヴァ」のプレッシャーから助けられた…【第27回東京国際映画祭】 - シネマトゥデイ
◆http://www.cinematoday.jp/page/N0067513
庵野秀明監督、宮崎駿監督の金言受け「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」新作を公約 : 映画ニュース - 映画.com
◆http://eiga.com/news/20141028/9/
庵野秀明「監督の仕事は責任を取ること」 エヴァへ言及でも注目の映画祭トーク4日目 | アニメ!アニメ!
◆http://animeanime.jp/article/2014/10/28/20650.html
「驚くことに『進撃の巨人』にそっくり」使徒が人を食う「エヴァ」幻の劇場新作を庵野秀明が語る - エキレビ!(1/5)
◆http://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20141028/E1414460494325.html
庵野秀明「エヴァ」幻の劇場版企画「進撃の巨人」そっくりだった【第27回東京国際映画祭】 - シネマトゥデイ
◆http://www.cinematoday.jp/page/N0067682
エヴァトークは時間が押して約10分程。ナディア、トップの話がメインでした。
ナディアトークについては会場に行かれた方が詳しくつぶやかれています。
【庵野秀明の世界】
本日のトークショーの内訳目安は王立10分、トップ20分、ナディア20分、カレカノ5分、スタジオカラー立ち上げ関係5分、エヴァ(旧劇)10分、新劇5分くらいかな。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
ナディアについて。トップをねらえ!が終わって完全燃焼している状態で、本来やるはずだった監督がNHKと揉めたのが原因。その人が揉めた理由は、NHKの脚本通りにやると、つまらないから。つまらないものをやるのは始めから敗北することが分かっているので、庵野さんはやりたくなかった。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
外枠も脚本も決まっていて、NHKからは脚本通りにやってくれと言われた。しかし、つまらない脚本で自分は責任を取れない(取りたくない)。だから、賭けに出るしかなかった。大枠のプロットは残しつつ、前田さんや貞本さんとディティールを変更していく作戦に。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
面白いものにするにはどうしたら良いか。まず東宝に行って「このままだと玩具が売れませんよ、自分が考えた脚本の方が玩具が売れますよ」と根回しをした。東宝を味方につけて、NHKのプロデューサーを説得。最初の1~3話までは割とNHK案を活かしていたが、4話辺りから徐々に独自路線。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
ナディアの監督オファーがGAINAXにあり、最初は山賀さんに話が行ったが断られ、庵野さんにやれと。山賀さんに「お前はトップでいくら赤字を出したと思っているんだ」と言われ、断れなかった。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
NHKの意向に準じていたら、ラピュタになっていただろう。初期のプロットには「宮崎駿」の名前が載っていましたし。ただ、それなら個人的にはタイムボカンにしたかった。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
4話に出てくるエレクトラが身元を隠すためにバタフライマスクを身に付けているけれど、あれで顔を隠せますかと。あそこはNHK案そのままですが。実際のところ、放送が始まると数字(視聴率)が良かったし、反響もあった。だからNHKのプロデューサーも、この若い奴にやらせた方が面白いかなと。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
NHKには毎週通っていて、プロデューサーから絵コンテのOKを貰っていたが、スケジュールから逆算すると変更できない状態にしておいて、ここから選んでください、と。最後の方はNHKの脚本は完全に無視していて、サブタイトルですら、自分達で勝手に付けていた。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
NHKは、ナディアの衣装に関して、最初の1話だけで、ノーチラス号に乗船した時は露出を抑えると思っていたらしいが、船員服を破っておへそを出させた。露出を増やさないと女性キャラは人気が出ませんと。肌色を多くしないとダメです。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
あの頃は全ての話数で全力投球だったので、一度22話で力尽きてしまった。腕が折れてしまった、肩を壊した投手のように。そこでちょうど海外の仕事が一段落して帰国してきた樋口さんに監督をバトンタッチした。監督が変わればああも変わるものなのかということを実感した。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
あの時は、現場には来ているのだけれど、ボケーっとして何もする気力が沸いてこなかった。その後、身体的にも精神的にも復調して34話以降に現場復帰を果たした。その34話が酷かった。そこまでに製作費を使い果たしていたので、自腹を切ることに。一番お金が掛かっているのが34話。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
韓国からの上がりが余りにも悪すぎて全部廃棄。脚本から作り直すはめに。ただ、脚本から初号までは20日掛かっていない。自分でナディアを描いたのは先にも後にも34話だけ。大事なカットは缶コーヒーの奢りで貞本にお願いをし、自分で描けそうなところは自分で描いた。あの話数は作監もやっている。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
当時の作品が1話当たり大体2,800 ~3,500枚のところ、ナディアは約12,000枚。もしかしたら通訳が間違えていたのかもしれないが、「え!?そんなに枚数使っていいの?」という位。中でも島編ラストのブルーウォーターの模様カットは1カットで1,200枚。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
復帰後の35話。2号メカは出そうと思っていてどうせなら宇宙に行きましょう宇宙に、潜水艦と宇宙船は構造が似ているしとやや強引に。東宝は玩具が出せるので乗り気。意外だったのはバンダイが商品化の話をちゃっかり持ち込んできたこと。変型をするノーチラス2世。政治的に断るのが大変だった。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
新メカのデザインは、トップをねらえ!でも手伝ってもらっていた山下いくと氏にお願いをした。山下さんはスケジュールにルーズだから大変。デルタ翼が嫌いな山下さんの案は逆進翼だった。最終的には増尾さんにまとめてもらった。ムーンライトYS-3まんま。同じ東宝ですし…
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
一度作ったものは見返さないことが多い。以前にNHKのイベントで10数年ぶりにナディア第4話を見返してみたが、「自分って、中々面白いものを作っていたんだな」と客観的に振り返ることができた。
— 豊島区民@10/24~27庵野秀明の世界 (@toshima9min) 2014, 10月 27
[エヴァストア本店][![]() |
この記事へのコメント
エヴァは2015年の年末あたりに来ると予想
やっぱエヴァ作るのはしんどいのかね
新劇と進撃…(笑)
なんてね
2015年に公開間に合えば旧エヴァの世界と同じ年になるしちょうど良いと思ったが…どうなるかね~
他の作品のエンドロール見てるとスタジオカラーがちゃっかり参加してたりするし、新劇の主要スタッフが他の作品の主要スタッフとして参加してたりするから人確保するの大変そう
他の作品に参加する余裕があるのか、それともシンエヴァの製作が進んでないから参加してるのか…
他の作品に参加するのは別に構わないんだけどね
お蔵入りの新作って更にドギツイ世界観になってたんですね。
進撃よりも生々しい感じになってたと思います。
鶴巻監督が降りたと言うのも初めて聞きましたし、新劇場版に参加して下さって良かったですね。
貴重な話を有り難う御座いました。
EOEの作業で庵野さんが力尽きるのは確実だったけど
新作映画の制作を続行する可能性として「もし鶴巻が自分の代わりに監督をやってくれるなら」ということで提案したら
「庵野さんがやらないエヴァはエヴァじゃないですよ」と断られた
でお蔵入り決定というような話だった
公開するのは確実なのだから
いくらでも待ちますよ 庵野監督!!
ほんと楽しみでしかたない。
そう言う意味で降りたと言うことですか!納得です。
揉めたとかじゃなくて良かったです。
庵野さんのエヴァや違う路線の新作(ナディア、トップ系?)も楽しみですが、鶴巻さんのフリクリも好きなので、新作TVシリーズか映画やって欲しいです。
わざわざコメント有り難う御座います。
マリがゲンドウと同級生説も消えましたね。
名前: ななしさん 2014年10月28日 08:43:23
代わりに30日のやつ行ってきます。
エヴァの話してくれるかなぁ…。